導入|帰化申請では「本国書類」の準備が重要
帰化申請を準備している方から、
「母国からどんな書類を取り寄せればいいですか?」
「出生証明書は必要ですか?」
「婚姻証明書や家族関係の書類も必要?」
「外国語の書類は翻訳しなければいけませんか?」
といったご相談をいただくことがあります。
帰化申請では、日本国内で取得する住民票や納税証明書などだけでなく、申請者の国籍や身分関係を証明するために、現在の国籍国などから書類を取得しなければならない場合があります。
一般的に、こうした書類を「本国書類」と呼ぶことがあります。
代表的なものには、
・出生証明書
・婚姻証明書
・離婚証明書
・親族関係証明書
・死亡証明書
などがあります。
ただし、必要となる本国書類は全員同じではありません。
申請者の国籍、婚姻歴、家族構成などによって大きく異なります。
この記事では、帰化申請で必要となる本国書類の種類や取得・翻訳の注意点について、国際行政書士が2026年の法務局の案内を踏まえてわかりやすく解説します。
帰化申請で「本国書類」が必要になる理由
帰化申請では、申請者が帰化の条件を満たしていることを証明するだけでなく、申請者の身分関係についても確認する必要があります。
帰化が許可されると、その方について日本の戸籍が作られることになるためです。
そのため、
・いつ、どこで生まれたのか
・父母は誰なのか
・兄弟姉妹との関係
・結婚しているのか
・離婚歴があるのか
・子どもがいるのか
などを公的な書類によって確認します。
日本人であれば戸籍から確認できる情報でも、外国籍の方の場合は、本国などが発行する証明書を提出して身分関係を証明する必要があります。
帰化申請で必要となる主な本国書類
必要書類は国籍や家族関係によって異なりますが、代表的なものを見ていきましょう。
① 出生証明書
出生証明書は、
・本人の氏名
・生年月日
・出生地
・父母
など、出生に関する事項を証明する書類です。
帰化申請では、申請者本人の出生証明書だけでなく、家族関係によっては子どもや兄弟姉妹などの出生に関する証明書が必要になる場合もあります。
出生証明書は、申請者の身分関係を確認するための基本的な書類の一つです。
② 婚姻証明書
結婚している方については、婚姻関係を証明する書類が必要になる場合があります。
婚姻証明書によって、
・誰と結婚したのか
・いつ結婚したのか
・婚姻関係がどのように登録されているのか
などを確認します。
また、申請者本人だけでなく、父母の婚姻関係を証明する書類が必要になる場合もあります。
これは、申請者と父母との親子関係などを確認するためです。
③ 離婚証明書
離婚歴がある方については、離婚を証明する書類が必要になる場合があります。
また、申請者本人だけではなく、父母の離婚に関する書類が必要になるケースもあります。
過去の婚姻・離婚関係も身分関係を確認する重要な情報です。
「現在独身だから昔の結婚については関係ない」
と自己判断せず、婚姻歴・離婚歴がある場合は法務局へ正確に伝えましょう。
④ 親族関係証明書
国によっては、父母・本人・兄弟姉妹などの関係を証明する「親族関係証明書」や、それに相当する書類があります。
帰化申請では、
・父
・母
・本人
・兄弟姉妹
などの関係を確認する必要があります。
国によって制度が異なるため、「日本の戸籍謄本とまったく同じ書類」が存在するとは限りません。
複数の証明書を組み合わせて家族関係を証明することもあります。
⑤ 死亡証明書
父母や兄弟姉妹などが亡くなっている場合、死亡証明書などの提出を求められることがあります。
例えば、
「父はすでに亡くなっている」
「兄弟姉妹の一人が亡くなっている」
といったケースです。
死亡しているから記載・証明が不要になるとは限りません。
親族の概要など、他の申請書類とも整合するように準備することが大切です。
⑥ 養子縁組・認知・親権などを証明する書類
家族関係によっては、
・養子縁組
・認知
・親権
などに関する証明書が必要になることもあります。
身分関係が複雑な場合には、必要書類も増える傾向があります。
「出生証明書と婚姻証明書さえあれば大丈夫」と考えず、ご自身の家族関係を整理したうえで必要書類を確認しましょう。
必要な本国書類は「国籍」によって大きく違う
帰化申請の本国書類で非常に重要なのが、
国籍によって書類の名称や制度そのものが異なる
という点です。
例えば、
・中国
・韓国
・台湾
・ベトナム
・フィリピン
・ネパール
など、それぞれの国・地域で身分登録制度が異なります。
そのため、
「知人がこの書類を提出したから、自分も同じ」
とは限りません。
東京法務局でも、2026年現在、帰化許可申請の必要書類について、
・中国の方
・台湾の方
・韓国・朝鮮の方
・特別永住者の方
などに分けて案内しています。
帰化申請では、ご自身の国籍に応じた書類を確認することが非常に重要です。
中国籍の方の本国書類
中国籍の方については、中国で発行される公証書などによって身分関係を証明するケースがあります。
出生、婚姻、親族関係など、確認する身分事項に応じて必要な書類を準備します。
中国籍の方の場合でも、
・未婚か既婚か
・離婚歴があるか
・子どもがいるか
・父母の状況
・兄弟姉妹の状況
などによって必要書類が変わります。
韓国籍・朝鮮籍の方の本国書類
韓国籍の方については、韓国の家族関係登録制度に基づく証明書などを使用して身分関係を確認します。
例えば、
・基本証明書
・家族関係証明書
・婚姻関係証明書
などが関係します。
また、家族関係登録制度以前の身分関係を確認する必要がある場合には、過去の戸籍・除籍に関する書類が関係することもあります。
韓国籍・朝鮮籍の方についても、一般的な「出生証明書」という名称だけで判断せず、法務局から案内された書類を準備することが重要です。
台湾の方は戸籍謄本が重要
台湾の場合は、戸籍制度があります。
東京法務局では、台湾の方について、父母の婚姻時に作成された戸籍(除籍)から現在に至るまでの戸籍(除籍)謄本などを案内しています。
また、部分戸籍ではなく全部戸籍を求めるなど、具体的な注意事項も示されています。
そのため、台湾の方については、
「現在の戸籍謄本だけ取ればいい」
とは限りません。
過去の身分関係まで遡って書類を収集する必要があるケースがあります。
本国書類は日本語への翻訳が必要?
外国語で作成された本国書類には、日本語の翻訳文を添付する必要があります。
東京法務局の2026年の案内では、
外国語で記載された書面について、
・A4判の翻訳文を付ける
・翻訳者の住所
・翻訳者の氏名
・翻訳年月日
を記載するよう案内されています。
また、書類の一部分だけを翻訳することは認められていません。
つまり、
「必要そうな部分だけ日本語にする」
という方法ではなく、書類全体を正確に翻訳する必要があります。
本国書類は自分で翻訳してもいい?
「翻訳会社に依頼しなければいけませんか?」
という質問もよくあります。
東京法務局では、
正確に翻訳できる方であれば、申請者本人を含め、誰が翻訳しても構わない
と案内しています。
したがって、必ずしも翻訳会社や行政書士などの専門家へ依頼しなければならないわけではありません。
ただし、身分関係に関する重要な書類です。
誤訳によって、
・氏名
・出生地
・婚姻年月日
・親族関係
などが原本と食い違わないよう、正確に翻訳することが重要です。
本国書類が取得できない場合はどうする?
国や地域、個人の事情によっては、
「出生証明書が取得できない」
「古い記録が残っていない」
「本国へ戻らないと取得できない」
といったケースもあります。
このような場合に、自己判断で書類を省略するのはおすすめできません。
法務局では、準備できない添付書類がある場合、その経緯や事情などを確認すると案内しています。
取得できないことが分かった段階で、早めに担当法務局へ相談しましょう。
本国書類と「親族の概要」の内容を確認する
以前の記事でも解説しましたが、帰化申請では「親族の概要」を作成します。
そこには、
・父母
・兄弟姉妹
・配偶者
・子
などの親族情報を記載します。
本国から取得した出生証明書や親族関係証明書などと、「親族の概要」の内容が食い違っていないか確認することが重要です。
例えば、
・氏名の表記
・生年月日
・続柄
・婚姻関係
などです。
本国書類だけを単独で確認するのではなく、帰化申請書類全体との整合性を確認しましょう。
日本の戸籍謄本が必要になるケースもある
「外国人の帰化申請なのに、日本の戸籍謄本も必要なの?」
と思われるかもしれません。
しかし、家族関係によっては日本の戸籍謄本等が必要になる場合があります。
例えば、
・配偶者が日本人
・父母が日本人
・子どもが日本人
・父母や兄弟姉妹、子の中にすでに帰化した人がいる
といったケースです。
本国書類だけではなく、日本側の戸籍関係書類も含めて身分関係を整理することが重要です。
日本の役所へ提出した出生届・婚姻届なども確認
外国籍の方でも、日本の市区町村へ、
・出生届
・死亡届
・婚姻届
・離婚届
・養子縁組届
・認知届
などを提出していることがあります。
この場合、帰化申請で「届書の記載事項証明書」などの提出が必要になることがあります。
本国書類だけ集めれば終わりではありません。
「母国で登録されている身分関係」と「日本で届け出た身分関係」の両方を整理することが重要です。
本国書類は早めに準備した方がいい?
本国書類は、日本国内で取得できる住民票などと比較して、取得に時間がかかる場合があります。
例えば、
・本国の行政機関から取り寄せる
・親族に取得を依頼する
・複数の証明書を取得する
・日本語翻訳を作成する
などの作業が必要になることがあります。
そのため、帰化申請の準備を始める段階で、
「自分の場合、どの本国書類が必要なのか」
を早めに確認しておくことをおすすめします。
ただし、法務局から案内を受ける前に自己判断で大量の書類を取得すると、必要な種類や内容が違って再取得になる可能性もあります。
まず必要書類を確認してから、計画的に収集しましょう。
本国書類を準備するときのチェックポイント
本国書類を準備するときは、次の点を確認しましょう。
・自分の国籍ではどの証明書が必要なのか
・出生証明書は必要か
・婚姻・離婚関係の証明書は必要か
・父母の身分関係書類は必要か
・兄弟姉妹について証明する必要があるか
・子どもの出生証明書は必要か
・死亡した親族に関する証明書は必要か
・日本語訳を準備したか
・翻訳者の住所・氏名・翻訳年月日を記載したか
・親族の概要など他の書類と内容が一致しているか
帰化申請では、申請者によって必要書類が異なります。
チェックリストだけを見て判断するのではなく、担当法務局から案内された書類を確認することが大切です。
東京・蒲田で帰化申請をする方へ
当事務所では、
「中国の公証書は何を取得すればいい?」
「韓国の家族関係証明書はどこまで必要?」
「出生証明書が取得できない」
「本国書類の翻訳方法がわからない」
「親族関係が複雑で必要書類がわからない」
といったご相談をいただきます。
本国書類は、帰化申請の必要書類の中でも特に判断が難しい部分の一つです。
国籍だけではなく、本人の婚姻歴、父母、兄弟姉妹、子どもなどの状況によって必要書類が変わるためです。
帰化申請を検討している方は、書類を集め始める前に、ご自身の身分関係を整理することをおすすめします。
まとめ|帰化申請の本国書類は国籍・家族関係によって異なる
帰化申請では、申請者の身分関係を証明するため、本国からさまざまな書類を取得する必要があります。
代表的なものとして、
・出生証明書
・婚姻証明書
・離婚証明書
・親族関係証明書
・死亡証明書
などがあります。
しかし、全員が同じ書類を提出するわけではありません。
国籍や婚姻歴、父母、兄弟姉妹、子どもの状況などによって、必要となる書類は異なります。
また、外国語で作成された書類については、日本語の翻訳文も必要です。
「知人がこの書類を出したから自分も同じ」と判断せず、管轄法務局の最新の案内を確認し、ご自身の状況に合わせて準備しましょう。
帰化に詳しい行政書士へのご相談案内
「自分の国籍ではどの本国書類が必要?」
「出生証明書や婚姻証明書の取得方法がわからない」
「本国書類の翻訳に不安がある」
「家族関係が複雑で必要書類がわからない」
そのようなお悩みがある方は、帰化に詳しい行政書士へご相談ください。
大田区・蒲田エリアを中心に、本国書類を含む帰化申請の必要書類の確認から書類収集、申請書類の作成、法務局への申請まで、お一人おひとりの状況に合わせてサポートしております。
カンボジアを訪れた際に現地の人に助けられた経験から、今度は「日本で働く外国人の方をサポートしたい」という想いで、取り組んでおります。
お気軽にライム国際行政書士事務所までお問い合わせください。
※本記事は2026年8月時点の法務局の公表情報を参考に作成しています。帰化申請の必要書類は、国籍・職業・家族構成・身分関係などによって異なります。実際の申請では、管轄法務局から案内された最新の必要書類をご確認ください。
